2020年1月30日木曜日

放射線の単位はなぜあんなにたくさんあるの?それぞれどうなってるの?(2)(吸収線量から等価線量へ)

「放射線の単位は・・・(1)」の続きで、
2、放射線を浴びる側(人体・環境)に注目した単位のうち、
吸収線量(昔はラド。今はグレイ)。

これは、放射線が物質(人体や空気中、水中)を通過するとき、放射線の持つエネルギーの一部が物質に吸収される。その吸収される量を、1kgあたりの物質が吸収するエネルギー量が1ジュールのとき、これを1グレイと呼びました。
ここではエネルギーが吸収される物質が何であるか、また物質を通過する放射線の種類が何であるかは問わず、どんな物質、どんな放射線であれ、単位質量(1kg)あたりの物質が吸収した放射線の持つエネルギーの量だけに着目して、放射線の量=吸収線量としたものです。
http://search.kankyo-hoshano.go.jp/food2/yougo/kyushyu.html
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しかし、これでは、放射線防護上問題となる、具体的に放射線の人体への健康影響を決定することができません。
そこで、「具体的な放射線の人体への健康影響」を量的に示すために、放射線の種類により人体への影響に差異があることを反映させようと()、
放射線の種類に応じて、1(ガンマ線、ベータ線)とか5(中性子)とか20(アルファ線)とかいう数字(←これを放射線加重係数とよびます)を吸収線量に掛け算した値を出します。これを等価線量と呼びます。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AD%89%E4%BE%A1%E7%B7%9A%E9%87%8F

)その発想自体は単純で、ガンマ線、ベータ線、アルファ線になるほど人体への影響は大きいから、それだけ大きな数字を掛け算する。
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ただし、実際に放射線の種類に応じて、どれだけの数字を掛け算するのが科学的に妥当なのかは、簡単には分からない。
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そこで、学者たちが苦労して、ひとつのアイデアを思いついた。
それが、線エネルギー付与(Linear Energy Transfer ; LET)を用いた数字〔線質係数(quality factor)という〕を空間のある一点における吸収線量に掛け算した値でどうだろうか、ということになった。
これが、線量当量(dose equivalent)と呼ばれる、放射線の人体への健康影響を表現するひとつのアイデアだった(1977年のICRP勧告で登場)。
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しかし、次の避難を浴びて、しぼんでしまう。
放射線防護にとって重要なことは、ある一点における吸収線量ではなく、組織・臓器全体の吸収線量であるのに、線量当量は「ある一点における吸収線量」に着目するもの。
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ある一点ではなく臓器の全体が受けた吸収線量に着目して、それに何とか科学的な(装いを備えた)数値を掛け算するようにした。この数値が放射線加重係数で、掛け算した値を等価線量と呼んだ(ICRP1990年勧告に登場)。
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不思議なことは、こうやって折角努力して等価線量を定義しても、いざ実際にどうやって測定するの?となると、実は測定できない(以下、ウィキペディアの解説)。
科学の本質は実証にあるのに、測定できない値を出して、それで何が嬉しいのか、何のためなのか、単なる自己満足ではないかと、ここがさっぱり分かりません。

等価線量の測定
 等価線量は人体の臓器に対して定義されたものであるため、例えば、甲状腺などの体の内部の臓器について直接測ることは原理的にできない。そのため、実務として等価線量は、環境モニタリングまたは個人モニタリングの結果から観念的に実際受けたであろう量以上の線量当量を計算によって算出し、それを等価線量とみなすことで求められる。

ひとまず、
吸収線量
線量当量
等価線量
の3つについてざっとコメントしました。

等価線量と実効線量の関係は->次の投稿。

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