2020年1月30日木曜日

放射線の単位はなぜあんなにたくさんあるの?それぞれどうなってるの?(3)(等価線量から実効線量へ)

「放射線の単位は・・・(2)」の続きで、
2、放射線を浴びる側(人体・環境)に注目した単位のうち、
実効線量です。

実効線量とは、先ほどの、「具体的な放射線の人体への健康影響」を量的に示すために考え出された、
臓器が受けた吸収線量に、放射線の種類に応じた或る数値(放射線加重係数)を掛け算して求めた値である等価線量
をさらに発展させた概念でして、
等価線量が「臓器や組織ごと」の吸収線量に或る数値を掛け算して求められたものであるの対し、今度は、「臓器や組織ごと」ではなくて、(臓器や組織の全体である)「全身」に着目して、「具体的な放射線の人体への健康影響」を量的に示そうとしたもの。
     ↓
問題は、どうやって「全身」の「具体的な放射線の人体への健康影響」を示すのか、そのやり方です。以下の2段階の計算で求めるらしい。
1(第1段階):先ほどの組織・臓器ごとに算出された等価線量、これに、組織・臓器ごとにどれくらい放射線に影響を受けるか(感受性の高い低い」を数値で示したもの(組織荷量係数)を掛け算した値を出す、
2(第2段階):1で求められた組織・臓器ごとの値を合計して、「全身」の値を出す。
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そのアイデアはいいとしても、問題はこのアイデアをどう具体化するか、つまり実際に科学的に正しい値として導くか、です。
先ほど述べた通り、吸収線量に掛ける「放射線加重係数」自体が、実際に放射線の種類に応じてどれだけの数字を掛け算するのが科学的に妥当なのかは、簡単には分かりません。
今度は、さらにもう1つ掛ける「組織荷量係数」自身もまた、実際に放射線の種類に応じてどれだけの数字を掛け算するのが科学的に妥当なのかは、簡単には分からない。
つまり、二度も不明確な数字が登場して、掛け算が行なわれる。従って、その掛け算の結果(等価線量)、或いは掛け算の答えを合算した結果(実効線量)もどれほど科学的に正しいのか、いずれもフィクションとしての性格を免れないのではないかと思います。
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次に、なぜ、このようなアイデアが生まれたか?ですが、
それは、「人体の各組織、各臓器の放射線の健康影響」を量的に表したいので、等価線量という概念を作り出したのに対し、
これは、「各組織、各臓器ごと」ではなく、「人体の全身」に対して放射線の健康影響」を量的に表したいときに、この実効線量という概念を作り出したものです。
具体的には、ガラスバッチという個人線量計で測定する個人線量がこの実効線量のことです。
個人線量の求め方
http://www.c-technol.co.jp/monitoring/pdf/service07.pdf

311以後、福島県民にガラスバッチを持たせて個人線量を測定させました。
その際、この値がいい加減ではないかという議論が噴出しましたが、これは実際のガラスバッチの精度、設定に問題があったばかりでなく、そもそも個人線量という概念が実効線量というフィクションによって作り上げられていることもその一因ではないかと私は思っています。

本当は、さらに、細かい議論があるのですが、
ひとまず、
等価線量と実効線量の関係についてざっとコメントしました。

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