昔はキュリー 今はベクレル
照射線量(レントゲン)
吸収線量(昔はラド。今はグレイ)
線量当量 (昔はレム。今はシーベルト)
等価線量(シーベルト)
実効線量(昔はレム。今はシーベルト)
について説明しました。
けれど、ここで、腑に落ちないことがあります。
ミスター100ミリシーベルト山下俊一氏が話題にしたいわゆる空間線量、正確には空間線量率、これって、上の放射線の単位とは別物なの?それともどこかに該当するの?
という問題です。
というのは、一般に、上の単位の解説の中には空間線量率についての説明がないからです。
しかし、チェルノブイリ法の放射能汚染ゾーンを定義する際に、私たちにおなじみの年間1mSvという空間線量率が登場します。
こんなおなじみの、重要な単位の解説がない!なんておかしい?
改めて、このような疑問がふつふつと沸いてきます。
↓
そこで、ネットで「空間線量率とは」で検索すると、意外にどこにも明快な解説がヒットしません。
例えば、環境放射能用語集 - ようこそ「日本の環境放射能と放射線」へで、
【空間線量】↑
原子力施設内や一般環境における周辺空間のγ線による線量で、放射線モニタリングの測定項目の一つです。主に地面や建造物に含まれる天然放射性核種からのγ線(宇宙線も含む)に起因する線量です。放射線によって空気中で生じる電荷をもとにする線量が照射線量(単位はμR/hなど)、空気中で吸収されるエネルギーをもとにする線量が空気吸収線量(単位はnGy/hなど)といわれます。計数率から線量率へ換算することもできます。
おまえ、人を煙に巻いてんのか、何が「ようこそ」だ!と言いたくなるような解説です。
また、原子力百科事典でも、
空間放射線量率 くうかんほうしゃせんりょうりつ↑
ある時間内に空気中を通過する放射線の量を言う。平常時や緊急時の環境モニタリングにおける重要な測定項目のひとつである。ガンマ線による空気吸収線量率または照射線量率はサーベイメータ、連続モニタ、可搬式モニタリングポスト等により測定される。
原子力百科事典はわりあいまともなサイトですが、こと空間放射線量率に関しては、ちんぷんかんぷん。
結局、最も分かりやすいと感じたのは、Weblio辞書の
空間線量率(空気吸収線量率)↑
対象とする空間の単位時間当たりの放射線量を空間線量率という。 放射線の量を物質が放射線から吸収したエネルギー量で測定する場合、線量率の単位は、Gy/h(グレイ/時)で表す。空気吸収線量率ともいい、表示単位は一般的にnGy/h(ナノグレイ/時)及びμSv/h(マイクロシーベルト/時)である。 原子力発電所では、周辺環境の安全を確かめるため、モニタリングステーション及びモニタリングポストを施設周辺に設置し、環境中の空気吸収線量率を連続して測定している。
この解説が優れているのは(ホントは別にたいしたことではないのですが、ほかのサイトがみんなごまかしているので優れてみえる)、
空間線量率のことを、ハッキリ、空気吸収線量率つまり、吸収線量の1つだと書いていることです。つまり、
吸収線量というのは、放射線が物質(人体や空気中、水中)を通過するとき、放射線の持つエネルギーの一部が物質に吸収される。その吸収される量のことですが、
放射線が通過する物質が空気中なので、これを空気吸収線量率と呼ぶ、つまり「吸収線量の1つ」という意味です(←なお、私はここで吸収線量ではなく、なぜ吸収線量率と率をつけるのか、まだその訳が分かりません)。
だから、空気吸収線量率の単位はグレイで表すことになります。これも分かります。
↑
しかし、そのあとに、「表示単位は一般的にnGy/h(ナノグレイ/時)及びμSv/h(マイクロシーベルト/時)である」←これが分からない。なんで、ここで異質な単位であるシーベルトが登場するのか、分からないし、その説明も全くありません。
人を煙に巻く、とはこのことです。科学的にやるんだったら、エネルギーの量を示すグレイとは異質なシーベルト/を導入する根拠を示して欲しい。それを示せないというのなら、非科学的と言われてもしょうがないんじゃないか。
以上の通りで、空間線量率とは、、
1、放射線が通過する物質が空気中なので、吸収線量の1つとして、空気吸収線量率のこと。
↑
ここまでは分かった。しかし、そのあとの、
2、空気吸収線量率の単位は般的にnGy/h(ナノグレイ/時)及びμSv/h(マイクロシーベルト/時)である。
↑
突如として、吸収線量で、シーベルトが登場できるのか、でぜんぜん分からない。理解できない。
これが、現時点での、空間線量に関する私の理解です。